一句佳日 

一日一句、シンプルに「俳句」を鑑賞して頂きたいだけのブログです。
その日の自作の一句と、「お気に入りの句」を併載しています。

写真は一部以外、Webから拝借しています。

春の虹


いま泣いた嬰と見てゐる春の虹
 
単に「虹」と言えば夏の季語であるが、それに比べ春の虹は淡く、
儚く消えてゆく。それゆえに、春に思いがけなく虹を見つけると、
沈んだ心は軽やかに、何となく心は安らかになるような気がする。
春の虹には希望をも感じ、「赤ちゃん」に合う季語のように思う。
 
介護とは抱き起こすこと春の虹   坂田直彦
 

行く春


行く春や三度したたむ片便り
 
この季語は、春という季節を人になぞらえて「行く」と言った
擬人法であるが、それに気がつかないほど、親しみ深い身近な
言葉である。
過ぎ去る春を廻り流れる時間としてとらえた季語で、好きな
季語のひとつである。
     
行く春や踏切の音だけが居る   佐藤日和太
 

山桜桃の花


赤子泣くゆすらの梅の花の白
 
季語は「山桜桃の花(ゆすらのはな)」バラ科の落葉低木で
花が梅に似ているところから、ゆすら梅ともよばれる。
葉とともに白色、または淡紅色の小さな五弁花を開花させる。
6月頃に光沢のある赤い実をつけ、そうなると「山桜桃の実」、
夏の季語になる。


一人居の時の長さよゆすらうめ  細見綾子


草の餅


ふる里のかをり購ふ草の餅

今では「草餅」に使う草は主に蓬であるが、古くは母子草
(春の七草のゴギョウ)であった。名前も母子餅とよばれて
いて、餅に草を練りこむやり方は、草の香りには邪気を祓う
力があると信じられていた。幼い頃、子供たちが摘んできた
蓬を米粉などではなく「メリケン粉」に練り込んだおやつを
母が作ってくれていたのを思い出す。
 
遺されし娘がひとり母子餅  後藤比奈夫


朧夜


おぼろ夜の隣家に尖る避雷針
 
季語「朧夜」とは、ぼんやりとかすんだ春の月の夜。
幻想的、官能的な雰囲気に満ちた季語だけに、作句上は即き過ぎに
ならない工夫がいる。揚句は「民家でもたまに避雷針を備えている。
隣の邸の尖った屋根に、避雷針がクッキリと天頂を向く。雲の後ろに
月の在り処をおぼろに感じさせる、心憎い措辞。」
このような句評をいただいた句。
 
朧夜の母ひらかなのやうに老い   小檜山繁子